GA4管理画面とGLASSの数値が違う場合の原因には複数の原因が考えられます。以下にそのケースを対処法と合わせて解説します。ポイントとして、下記の内容を理解した上で、大きな問題がなければ、多少の誤差(数%~10%程度)は発生する前提で見ておく必要があります。また、全体ではなく個別キャンペーンなどサンプル数が少ない対象で見た場合にはさらに差が大きくなるケースはあります。
GA4管理画面でコンバージョンを設定している場合に、デフォルトではコンバージョンのカウント方法は、「イベント数ごとに1回」となっています。しかし、旧Google Analyticsの定義は、「セッションごとに1回」であったため、過去の計測方法と差異が出ます。eコマースの購入などの一部を除きほとんどの場合は「セッションごとに1回」の方がビジネス上の本来のコンバージョンに近いケースが多いです。GLASSにおいては ga_cv を「イベント数」と「セッション数」どちらの集計方法でも計測できるようになっております。管理画面の設定に合わせてご利用下さい。
ユーザーは単一の流入経路ではなく、複数回に渡り別々な流入経路を経てコンバージョンに至ります。この場合、どの経路をコンバージョンに貢献したとするかというアトリビューションの概念があります。このアトリビューションの集計方法はいくつかあり、これにより数値の誤差が発生します。以下にそのケースを整理します。
GA4の管理画面では都度のセッションの流入元になった参照元・メディア・キャンペーンなどの情報を「トラフィック獲得」ページで表示しています。一方で、同一ユーザーがサイトに初めて訪れた際の最初の流入元を「ユーザー獲得」ページで表示しています。旧Google Analyticsでは、前者の「トラフィック獲得」が基本になっていたため、GA4で同じ数値を見たい場合は間違いがないように気をつける必要があります。一般的には、「トラフィック獲得」を使うケースが多いです。
GLASSにおいてはどちらも利用することができるようになっています。ただし、後述のBigQueryにおいて一部セッション時の「トラフィック獲得」情報が1~2割程度欠損するケースが確認できているため、その場合は流入元情報を「ユーザー獲得」で補完するようにしています。つまり、GLASSでは基本トラフィック獲得のレポートと同じになるものの、一部だけユーザー獲得レポートで保管しているため完全にトラフィック獲得レポートと同じになりません。これは、1件単位の厳密な数値正確性が求められないほとんどのマーケティング実務上は問題になりません。
コンバージョンに対する貢献度の計算に使われているアトリビューション モデルをGA4では設定できます。アトリビューションモデルはデフォルトで「データドリブン」となっています。この場合、Googleが統計上貢献度が高いと思われる流入元に対して、CV1件単位で複数ある接触チャネルに振り分けることになります。統計的により合理的に見える一方で、非常に実態がわかりにくくなるため、検証可能な正確な集計が必要なケースには向いていません。つまり、明確にデータドリブンの恩恵が受けられそうな大規模に広告投資をしているケース以外は「ラストクリック」でほとんど問題ありません。
レポート画面においては、「ユーザー獲得=ファーストクリック」で「トラフィック獲得=ラストクリック」になります。この違いも混乱を招きやすい要因です。GLASSがダッシュボードで表示しているアトリビューションモデルは「ラストクリック」です(指定によっては「ファーストクリック」に変更可能)。
GA4の管理画面ではトラフィック獲得(ラストクリック)において「最後の非Direct流入元」情報を参照するアトリビューションモデルになっています。セッションのチャネルグループが ”Direct”(ノーリファラー)だった場合は、当該ユーザーの直前の最後のクリックした流入元情報が参照されます。
有料およびオーガニックのラストクリック: ノーリファラーを無視し、ユーザーがコンバージョンに至る前に、最後にクリックしたチャネル(または YouTube のエンゲージ ビュースルー)にコンバージョン値をすべて割り当てます。コンバージョン値がどのように割り当てられるかについては、以下の例をご覧ください。
一方で、BigQueryを利用したGLASSでは、Directの場合は純粋にDirectとして取り扱います。このため、若干Directが増える傾向があります。
これは珍しいケースです。GLASSでは当該コンバージョンイベントが発生したセッションの最初の流入元情報を参照します。一方で、GA4管理画面は当該コンバージョンイベントが発生した直前の流入元情報を参照します。このため、同一セッション内で複数の流入元を持つケースが頻発するようなサイト(サイト内のバナーなどにutmパラメーターを付与しているなど)ではコンバージョン寄与した流入元の数値に差異が多く出ることがあります。
例:同一セッションにおいて
No. | イベント順 | 補足 |
---|---|---|
1 | 広告で流入 | セッションの最初の流入経路。GLASSではこちらを採用。 |
2 | LINEで流入 | コンバージョンの直前の流入経路。GA4管理画面の「トラフィック獲得」ではこちらを採用。 |
3 | コンバージョン |
GA4のデータは標準では「4~8 時間」程度で反映されますが、状況によっては72時間まで掛かることがありえます。
一方で、GLASSで利用している「BigQuery」では、前日データが翌日中に更新されます。更新される時間はGoogle側の処理に依存しており指定ができません。前日のGA4データが反映される確率は、GLASSのプランごとにデータ更新頻度によりますが、
となっております。ライトプランでは1日1回9~10時のみのため、前日のGA4データは更新されないケースが多いです。前日の成果データについてはGA4ではなく、広告媒体のCVやセッション数で傾向を捉えることを推奨致します。
データ量が多い場合にGA4管理画面でのデータがサンプリングなどで全データを対象に集計がされず、精度が落ちることがあります。
また、データのサンプリングではなく、参照レポートによっては「(other)」としてデータがまとめられることがあります。これはGA4のレポートでセカンダリディメンションを使うときによく発生します、イベント・コンバージョン数が実態よりも少なくGA4管理画面上で表示されます。レポートのデータは探索よりも正しいと思い込みがちですが、この表示に注意下さい。 (チャネルグループxキャンペーンなど2軸で指標を見るとき)
参照:[GA4]「(other)」行について - アナリティクス ヘルプ
一方で、GLASSが利用しているBigQueryでは生データを利用しているため、サンプリングはなく精度は高いです。
プライバシー、対象のCV件数などが少ない場合はGoogleシグナルを有効化しているとデータがプライバシーの問題で出ない場合があります → Googleシグナルを無効化することでデータが出ることがあります
※Googleシグナルに関しては、デバイス間の行動が把握できる一方、個人を特定しやすくなる点から「しきい値」というものが発生しやすくなります。「しきい値」が発生するとデータの精度が落ちてしまうためGoogleシグナルを気軽に「ON」にすることは推奨しません。
Google広告の自動タグとGA4の手動タグ(utmパラメーター)が併用されている場合には、GA4管理画面ではGoogle広告の自動タグが自動的に優先反映されます。逆に、GLASS(BigQuery)では、自動タグは無視され、手動タグが反映されます。
確認箇所 | 自動タグ | 手動タグ | 補足 |
---|---|---|---|
GA4管理画面 | 🟢 | ❌ | 一部自動タグが欠損するようなユーザー環境においては手動タグで補完され、手動タグで計測されるケースあり。 |
例:自動タグ「google / cpc」がほとんどだが、手動タグ「google / display」 が一部混ざっている | |||
GLASS(BigQuery) | ❌ | 🟢 | Googleの仕様で自動タグは一切考慮されないため、手動タグ必須。 |
そのため、手動タグと自動タグで同様の設定になっていないような場合に差異が発生しているように見えます。